2013年2月10〜11日、八ヶ岳の黒百合ヒュッテに泊まってきました。雪山デビューだというY君と僕ら夫婦3人で危険度0%の雪山で遊んできました。
最近、スノーシューを活用するためにユルい雪山ばかり目をつけている僕ら夫婦。Y君も「雪山行ってみたいな〜」ということで、雪山デビュー地を色々と検討。日帰りなども考えたのですが厳冬期の八ヶ岳の夜の寒さも体験してみたいというのと、久しぶりに黒百合ヒュッテに泊まってみたい、という理由からそちら方面を目指すことに。
今回のカメラもCONTAX T3。雪山というハイコントラストなシーンばかりでしたが頑張って描写してくれていました(-15℃では沈黙しましたが)。
【登山ルート】
1日目:渋の湯 → 黒百合ヒュッテ → 天狗の奥庭 → 黒百合ヒュッテ(泊)
2日目:黒百合ヒュッテ → 中山 → 高見石小屋 → 渋の湯
こちらにも書きましたが、軽いスノーシューを色々と探した結果、Y君が購入したのは
スーパーカンジキ。「おいおい、そんなので雪山歩けるの〜?」なんて心配になりましたが、むしろスーパーカンジキの性能を見れる良いチャンスかも!小屋泊ということもあり、RPMに軽々とスーパーカンジキを装着して渋の湯を出発!10:30とかなり遅めですが、2〜3時間で小屋に着くので問題ないでしょう。
想定していた通り、渋の湯から黒百合ヒュッテまでの道はトレースがバッチリあり、スノーシューが活躍する場面はまったくありませんでした。登山道は踏み固められ凍っているところもあったのでマイクロスパイクは活躍しました。気温は-6℃前後。天気もいいのでそれほど寒さは感じません。天気のいい雪山って本当に気持ちが良いですね。
12:50、丁度良い頃に黒百合ヒュッテに到着。小屋の前はすでに多くの人で賑わっております。予約の電話をした時「この連休は大変混雑しております」とは聞いていましたがこれはなんだかすごい人数になりそうな予感……。中に入ってみるとまぁまぁの人。あれ?思ったほどじゃない?これぐらいの混雑ならなんとか平気そう、なんて思いました。この時は。小屋で受付をして荷物をサブバックに移して天狗の奥庭に行くことに。
小屋までは使うことのなかったスノーシューを履いてむかいます。Y君が持ってきたスーパーカンジキ、いきなり「斜面が登れない!」なんてことになるんじゃないかな?なんて少し思ってたんですが、全然平気で拍子抜け。これを見せられると自分らが履いているスノーシューが重りのように思えてきます。しかし…Y君の後ろ姿は完全に忍者。もしかしたら本物の忍者より忍者らしいかも。
奥庭まで上がると目の前に東天狗と西天狗がそびえております。あぁ、いい天気だし登りたいなぁ。でも僕らの技術ではまだ早い気がする。ピッケルも本格的なアイゼンも、まだ持っていないですしね。東天狗岳なんかはいつか登ってみたいとは思います。
奥庭で遊ぶのがちょうどいいのかもね。こんな場所でも稜線に出るとかなり強い風が吹いています。きっと東天狗の稜線なんかはすごいことになっているに違いありません。
上の写真が奥さんで、下の写真がY君。天狗の奥庭、絶好のソリポイントでした(笑)。
少し場所を変えてもういっちょ!楽しい〜。この奥庭は色んな傾斜の斜面があるので自分の好みの難易度で滑れるのです。そこでスノーシューテストもしてみました。スノーシューなら登れるけどスーパーカンジキでは登れない、という境界線を探してみたのです。その結果は先日のレビューの通りでスノーシューで登れる傾斜の80%ぐらいならスーパーカンジキでも登れる印象でした。
いやぁ、十分に楽しんだので小屋に戻ります。
15:30頃、小屋に戻ると小屋の中は人人人。カオス状態でした。床という床は人で埋め尽くされ座る場所を探すのも一苦労です。「混んでますよ!」と事前に言われていながら来てるんですから文句は言えません。後に見たヤマケイのアンケート情報の「
今年行く予定、行きたいと思っている雪山」という項目で赤岳とか天狗岳など八ヶ岳がブッチギリで1位でした。そりゃそうだ。ベースキャンプとしての山小屋が通年営業してたり、アクセスもしやすかったり…雪山やるのに最適なんですから。
16時頃、寝床に案内されました。2枚の布団に3人の割り当て。黒百合ヒュッテのいいところは清潔なところ。布団も枕もピシッとしています。奥さんは「女性の従業員が多いからじゃない?」と推測していましたが確かにその通りな気がします。全体的に清潔です。
17:30、夜ご飯。ハンバーグ!味噌汁、ご飯はお代わり自由(ピンボケ写真)。黒百合ヒュッテのいいところ、それはご飯が美味しいところ。
ご飯を食べた後は各々寝たりお酒を飲んだり。人が沢山いるからなのか小屋の中は暑い(笑)。上はフリースだけで十分です。
20:30、消灯。「こんな混雑の中寝れるかな〜」と不安でしたが特に問題なく寝れました。近くのおじさんがすごく寝言を言っていたのが面白かった。面白かったけど、眠りたいので耳栓をしたら快適に眠れました。
5:30、「朝ごはんです!」の声で起床。寝起きの頭のまま、1階に下りて朝食です。
朝食後は今日の分の湯沸し。奥さんのストーブ
P-114Fが不調。寒いから?でも小屋内よ?なぜか火力がまったく上がりませんでした。普段なら轟音を響かせてすごいスピードでお湯を沸かすのですが。そこで僕の
SOD-300で湯沸しすることに。すぐに沸きました。
出発の準備をしながら今日のスケジュールを決めます。事前の天気予報では今日も晴天の予定でしたが、さっき外を覗いてみると明らかに天気は悪いです。空は曇って風も強く、昨晩は雪も降ったようです。あわよくば天狗岳に挑戦してみる?なんて話も出ていましたが無理ですね。中山を通って高見石小屋を経由し、渋の湯におりるルートに決定しました。
これ、いい感じの写真だなぁ(自画自賛)。外は-17℃!寒い〜。ORのミドルはラディアントジャケットを着てきましたがこれはキツそう〜ということでパタゴニアのR2に着替えました。手袋もウールの手袋に
モンベル オーバーグローブだけでは寒い!オーバーグローブには保温性はないので当たり前なのですが…。-20℃より寒い世界では装備は別物になってくるのかもしれませんね。小屋の前で準備しているおじさま・おばさまは、そんなに厚着しているように見えないのですが、平気そうな顔でワイワイとアイゼンなんかを付けています。
奥さんはホグロフスの裏地がついた冬用ジャケットを着ています。表面のゴア生地と裏地の間に保温層ができるのか、ほとんど寒くないみたい。僕は薄いゴアのプロシェル。強風だと防風とはいえ体に張り付き冷たい風にさらされます。ジャストサイズのほうが見た目にはかっこいいかもしれませんが、これぐらいの寒さだともっとゆとりあるウエアじゃないとキツいかなぁ。eVentなんかでは風を通しすぎて相当寒い思いをすることになるかも?ってY君はeVentだった。感想を聞いておけばよかった。
6:30、出発!僕ら以外は多くの人が天狗岳へ向かうようです。この悪天候の中、吹きすさぶ稜線を歩くのは容易ではないだろうに…。しかも頂上に立っても強風と寒さで5分といられないのではないでしょうか?僕らが軟弱なだけなのか?「行く」と決めたらそれを疑うことなく列をなして強風の中を歩いて行く姿を見ていると、世代間の感覚の違いを感じました。
写真撮影 妻
僕らはマイペースにスノーシューを履いて中山を目指します。中山はなんてことない樹林帯の中にあり展望はゼロなのですが、少し過ぎると地図上に展望台と記された、展望抜群の場所があるので少し期待していました。が、展望があるということは周りに遮るものが何もないということでその場所に出てみると尋常じゃない強風にさらされて、顔が痛くなりました。いやぁ、バラクラバを忘れたのが失敗でした。顔が痛い!
この頃になるとあまりの寒さに僕のT3も奥さんのNEX 5も電源が入らなくなったので写真がありません(笑)。ちなみに、出発時点で-17℃だった気温は一応日が出る時刻になってくると-12〜-15℃くらいに上がりました。
中山から高見石小屋までは下りになっており、しっかりとしたトレースがあってそれがまるでボブスレーのコースのようになっていました。ここぞとばかりにソリで滑ってみるとよく滑る(笑)。ゆるやかに蛇行した道が疾走感を演出して楽しい!「ソリですか?いいなぁ!」と、途中すれ違う人々と会話が弾みました。
10:30、下山。極寒の雪中ハイクを楽しめました。下山後は
音無の湯へ。居抜きで改装したのか、新しさと古さが同居している感じが微妙でしたが、温泉に浸かってご飯を食べて帰りました。
ユルいやつばかりだけど、何回か雪山に行くようになってきて感じますが厳冬期の山はやっぱり大変ですね。色々と気合が必要。見事晴天に恵まれて風が強くない日があれば(そんな日あるの?)登れるかもしれませんが色んなコンディションが整わないと楽しい登山になりづらそう。自然を相手にするって本当に一筋縄で行かないですね。