黒部五郎岳(1日目)
2011年 08月 31日
今回のこの山行は妻と二人で行ったのですが台風のせいで色々と計画を変更するハメに。
最後の下り30分はもう文字通りヘロヘロになって下山したのでした…。
タイトルは『黒部五郎岳』となってますが実際に僕らが行きたかったのは雲ノ平。
僕は雑誌で"日本最後の秘境"という枕ことばにつられて気になっていたのですが、
雑誌というのは多くの人が見るものでして、みなさん同じように魅力的に感じたのか
今年はなんだか雲ノ平が大人気のようです。
いろんな人のブログでも雲ノ平のことは良く出てくる気がします。
僕らが当初計画していたのは、
折立→太郎平小屋→黒部五郎岳→雲ノ平→折立という3泊4日の行程。
最終日が少し大変ですが雑誌などでも紹介されるようなスタンダードなルート。
そのルートを基準に食料などの準備を進めたのですが、
僕らが北アルプスを歩いている時に大型台風が直撃しそうであると判明!
それは出発2日前、前日になっても変わらずルート変更をすることにしました。
僕らが一番目指したい雲ノ平あたりが台風の直撃日になりそうなので、
むしろ雲ノ平を先に回ることにします。
そして、これは初日に歩きながら決めたことなのですが
山行の最終日が一番台風の危険にさらされそうだったので
初日に雲ノ平まで行ってしまおうということになりました。
それは初日に10時間ほど歩く必要がある、ということを意味するのですが…。
【登山ルート】
1日目:折立 → 五光岩ベンチ → 太郎平小屋 → 薬師沢山荘 → アラスカ庭園 → 雲ノ平(設営)
2日目:雲ノ平(撤収) → 三俣山荘 → 三俣蓮華岳 → 黒部五郎小舎(小屋泊)
3日目:黒部五郎小舎 → 黒部五郎岳 → 赤木岳 → 北ノ俣岳 → 太郎平小屋 → 折立
この有峰林道は午前6時からでないと開かないのでそれまで駐車場で仮眠します。
が、まったく寝れず。車で仮眠というのはとても苦手でまったく寝れません。
結局睡眠時間ゼロで登山口を目指します。
ちなみに、この写真のタクシーには男性3人組が乗っています。
何気なく認識していたこの3人がこのあとずっと山行を共にすることになるのです…(笑)。
この景色…いろんなブログで見ていた登山口です。
2時間ほどは樹林帯の中を積極的に高度を上げていくことになりますが、
そこを抜けると歩きやすいように道が整備された登山道になり視界も開けます。
「JAMは中にマットを這わせるとフレームになって良いですよ」と言われていたので
パッキングの際に何度か試したのですが3泊4日の食料を入れようと思うとキツかったので
今回はマットを外付けで行くことに。あまりギュンギュンに太らせなければ
JAMもそこそこ安定していると再確認しました。やはり使えそう。
すべてパッキングした状態を家で計ると12kg弱でした。
3泊4日で12kgを切っていれば、まぁまぁじゃないでしょうか。
実はここまでに、例の前を走るタクシーに乗っていた3人組に話しかけられました。
(タクシーを降りる時に姿を見たので覚えていました)
突然ビデオカメラと一眼レフカメラをこちらにグイグイむけて撮影しながら
「今日は、どこまで、いきますか?」とカタコトで質問してきたのです。
どうやら韓国の人のようです。「太郎平小屋まで」と答えると「そうですか!」と笑顔。
自分たちは雲ノ平まで行ってしまう、とだけ会話して別れました。
しかし…なんだか無遠慮な印象でした。いきなりカメラで撮影されたのですから。
後ろから歩いてくる3人は大声で話すので山に響いております(笑)。
海外の人なのでそのあたりは文化の違いでしょうけどね。
しかも、雲ノ平までって10時間近くあるんだよ!?と、この時は一日で雲ノ平まで行くなんて
無理ではないにせよ、かなりハードで健脚な人だけができる芸当だと思っていました。
避けることなどできるはずもなく、ガスの中を進みます。真っ白!
ここで重要な決断をしなければなりません。
"予定通りこの太郎平小屋で1泊する"か、"このまま雲ノ平を目指す"か。
情報をまとめると3泊4日のうち、最終日が台風直撃っぽいことはわかってきました。
今日頑張れば2泊3日に短縮できるため、台風直撃の最終日を削ることができます。
ここまでかなり良いペースで登れているのでコースタイム通りの10時間はかからないかも。
二人で考えてちょっと頑張って雲ノ平を目指すことにしました。
さっき韓国の人達の"初日で雲ノ平コース"を「大変そうだな〜」と他人事で聞いてたのに
まさか自分がそれを実行することになろうとは…。でも台風だから仕方ないね。
しかし…あの3人組はまだ来てないが、大丈夫だろうか?
縦走だから仕方ないんですけど、せっかく苦労して稼いだ高度をみすみす下げるという…。
こじんまりとした小屋ながらも、沢の側の森の中に建っているので秘密の小屋みたいです。
けっこうスカスカで高度感は満点。「気合入れていけよ。ここから少し違うぜ」って
試されている気分になります。まるでRPG。ワクワクしますね。
と、半分も登らないうちにポツポツと雨が…。ポツポツはすぐにザーザーに変ったので
レインウエアとザックカバーを着用して再び急登に取り付きます。
さすがに妻がグッタリしてきました。気付くとだいぶ後ろのほうを登っています。
「頑張って!」と激を飛ばしながら登ります。
しかし雨は未だにハッキリとは止まず。シトシト降っては弱まる、の繰り返し。
9時間歩いた後でなければもっと余裕があっただろうに…と思わず弱音を吐きそうに。
雑誌で読んで知っていましたが、リニューアルしたての綺麗な小屋です。
中でテン場の受付をして三ツ矢サイダーを飲みます。僕も妻もヘットヘト。
しかし、この雲ノ平山荘のテント場は山荘からさらに25分ほど歩いた先です。
僕も辛いですが妻はさらに辛そうで、残って無い体力を振り絞って出発です。
ちなみに、この写真の2階から顔を出しているオレンジのウエアのおじさま、
この方も最後のほうまでご一緒することになります(笑)。
平日に行くと人が少なくて出会いが濃厚になりますね〜。顔を覚えてしまいます。
今回は夫婦でありながら1人用テントをそれぞれ担いできたので
なるべく近くに張れそうな場所を探してテントを設営しました。
そしてなんとかご飯を作って食べ、台風の影響を心配しつつ就寝。
この日は雨だったのと、あまりの疲れで写真はこのあと撮ってません(笑)。
夜、やや強めの風やパラパラといった雨の音に「台風!?」といちいちビビってましたが
なんとか少し眠ることができました。いやぁ…半端なく疲れた!
by yama-oson
| 2011-08-31 20:08
| 山行 (北アルプス)