富士山 吉田口(1日目)
2009年 08月 21日
今までろくに山登りしたことなどない僕は登れるのでしょうか?
初めての登山、吉田口より目指した富士山の記録です。
以前より妻は「富士山、登りたいね〜」とたまに口にしていました。
そんなときは「まぁね、そうだね」となんとなく流していました。
正直、なんの興味もわきませんでした。山なんて登ったことないし。
ところが、いつも見ている深夜番組の特集が"富士山"だったのです。
面白おかしく紹介しているので、単純な僕は「意外と面白そう」なんて感じたのでした。
妻は完全にノリノリで「今すぐにツアーを申し込もう!」と息巻き、
なんとなくまかせておいたら本当に登ることになったのでした。
しかし、装備の問題があります。超初心者の僕らは何も持っていないのです。
すると妻が「あたしのおばちゃんは山登りするから借してもらおう」と言います。
お盆に帰省した際に、多くの装備はおばちゃんに借りることができたので
ほとんど何も購入せずに済みました(妻はエーグルのGORE-TEX®ジャケットを購入)。
富士山特集の雑誌も買って勉強して、登山当日の8月21日を迎えることになりました。
朝一で新宿からバスに乗り富士山の数本ある登山口の1つ、吉田口を目指します。
9:40、吉田口五合目に到着。雑誌には"高山病対策で五合目で1時間ほど過ごすべし"と
ありましたので、早めのお昼を食べようとレストランで腹ごしらえしました。
【登山ルート】
1日目:吉田口五合目 → 白雲荘(手違いで変更) → 太子館(小屋泊)
2日目:太子館 → 富士山 → 吉田口五合目
記念の為に、この日の僕の格好を記しておこうと思います。
帽子 :綿の普通のハット
シャツ :綿の普段着てるシャツ
ティーシャツ:速乾素材 (おばちゃんよりもらいました)
ザック :Macpac (おばちゃんより借りました)
パンツ :綿の普段着てるハーフパンツ
タイツ :ユニクロヒートテック
ブーツ :ダナーライト
フリース :ノースフェイス (おばちゃんより借りました)
雨具 :ビクトリノックス (義母さんより借りました)
ポール :モンベル (おばちゃんより借りました)
いかに何も持っていないかが良くわかりますね。綿ばっかりだもんなぁ(笑)。
逆に言えば、雨具がちゃんとしてればだいたい登れるってことですね。
「いいな〜」って少し思いましたが、続けるかわからない登山にお金はかけれません。
登り始めて最初のほうはこんな感じでゆるやかでお散歩道みたいなのが続きます。
が、30分ほど登った段階でドキリとする出来事が。
妻が突然うずくまり「ちょっとクラクラする」と顔面蒼白なのです。
気持ちはわかります。実は僕も空気の薄さにやられて微妙にクラクラするのです。
しかも登山初心者なのでいきなり調子良く飛ばしてしまったのが
余計に吸い込む酸素を少なくさせてしまったのかもしれません。
無理せず戻ることも考えましたが「大丈夫」ということで雑誌で読んだ対処法、
"深く深呼吸しながら登る"を心がけながら先へ進みます。
そしてこのスイッチバックはここからほぼ九合目くらいまで、ずっと繰り返されます。
"富士山に登る"って聞くと、もうちょっと険しい道かと思っていたのに
傾斜がキツいだけでずっと平らな道が続くとは…拍子抜けです。
しかし…単調な道だなぁ。体がめちゃくちゃ重く、ゆっくりとしか進めません。
呼吸も意識して深く吸わないとすぐに酸欠になるような感じがします。
「酸素が薄いとこんなに体が重くなるのか〜」とずっと思っていました。
よしよし、と気合を入れ直します。疲れては下を見て「よしよし」の繰り返し。
「そうそう、こういうのを待ってたのよ!」とテンションあがります。
が、体は簡単には上がってはくれません。とにかく単調な道が続く吉田ルートにおいて、
これはちょっとしたリフレッシュですね。
なんとなくいやな雰囲気の空になってきたな、とは思っていたのですが…。
ここも山の熟練者であるおばちゃんや雑誌のアドバイスを守り、雨具を着用します。
下のほうには虹が出てるし!…雨かぁ、雨はいやだなぁ。
宿泊予定地の白雲荘はもうすぐのはず、と酸素の薄さにやられながら前進します。
常に深呼吸をしていないとちょっとキツいのです。
と、思ったところに思わぬ情報が。なんでもツアー会社が手配ミスしたようで
「白雲荘はいっぱいなので下の太子館まで下がってください。すいません」と
言われてしまったのです!小屋の人は申し訳なさそうですがミスしたのはツアー会社で…。
そうそう、ちょうどこんなぐらいの距離感でした。奥に見える小屋まで戻るのです。
このヘトヘトの体に「来た道を戻れ」という酷な指令…たまりません。
タオルを貸してもらえてなんとも手厚く対応してもらえました。
(あまりの疲れに山小屋の写真を撮れていないです…)
事前に連絡が入っていたらしいので、軽い難民的な扱いだったのでしょうか。
いつの間にか気分は「ま、いっか」という感じに(呑気)。
小屋のスタッフさんから寝床に案内されて、いろんな説明を受けます。
消灯時間や夕食・朝食、トイレの話をひと通り聞いたら、あとは夕食を待つだけ。
しかし…一人分のスペースが狭い。肩幅くらいでしょうか。
寝具はふとんではなくて寝袋なので、確かに寝てしまえば横幅はコンパクトなのですが
「隣の人の顔が近すぎるなぁ」と萎えながらも、もろもろ準備します。
17:20、待ちに待った夕食!噂のカレーです。
なんてことないカレーですがとても美味しかったです。
食事中に小屋の方から説明があり、衝撃的な事実が!
「今夜、寒冷前線が通過するので強風と雨が予想されます。掲示板に状況を
随時書いておきますが、心配な方は相談してください」とのこと。
な、なんと嵐がくるので登頂できないかも、ということなのです。
ガーン!と妻と二人ショックを受けていると、
隣の席にいた方(父親と息子)が話しかけてきました。
「どうされますか?私たちは何度か登っているので、今回は断念して下山します」とのこと。
「まだ決めてないです〜」と答えたものの、ここは悩みどころです。
まぁ、悩んでも仕方ないので起きてから考えましょう、ということに。
「寝れるかな〜。でもクッタクタだからきっと寝れるよね」なんて不安を抱いてましたが、
結果はあまり寝れず(笑)。いろんな要因があるのですが一番は"空気の薄さ"ですね。
眠ろうと横になると頭がガンガンするのです。お酒を飲み過ぎて休憩がてら横になると
こめかみがドクンドクンいう感じに近いですね。
頂上でご来光を見るには逆算すると0時に起きなければなりません。
今が18:30なので早く寝ないと寝る時間が減る一方じゃん、と焦ったり
というか登れるのか?嵐みたいなものがきたら到底登れないよね?
などいろんなことが頭をぐるぐると回りますが、今できることは寝ること。
小屋に戻って寝ようと試みますが、"少し寝ては起き上がって頭痛を回避"を繰り返します。
2時間くらい寝た段階で「え〜い!めんどくさい!」と起き上がって広間にいきました。
出発時間の1時までここで座ってやる、と決め込み500円する紙コップの紅茶をオーダー。
"ただ座って時間をやり過ごす"という苦行ですが、頭痛に比べれば少しはマシです。
あぐらをかきながら「最悪、下山でもいいかな」と思っていました(笑)。
富士山 吉田口(2日目)はコチラ
by yama-oson
| 2009-08-21 21:23
| 山行 (富士山)